ドロマイト(苦灰石) dolomite CaMg(CO3)2 戻る

※多くの炭酸塩鉱物は結晶構造において三角形の炭酸基(CO3)が平行配列しているため複屈折量が異常に大きく,平行ニコルでステージを回転させると結晶粒界やへき開線が浮き上がったり沈んだりするように見え,クロスニコルでは干渉色は8〜9次,あるいはそれ以上に達し虹色やくすんだ黄色に見える。

六方晶系 一軸性(−) ω=1.68〜1.70 ε=1.50〜1.52 ω-ε=0.179〜0.185 方解石よりも屈折率・複屈折量はさらに大きい。

形態:通常は他形。

色・多色性:無色で多色性はない。

消光角:通常は他形で定義されない。

へき開:3方向(1 0 -1 1)に完全。

伸長:定義されない。

双晶:方解石の場合と同様に,圧力を受けたドロマイトではそれが顕著な集片状の双晶となっていることが多い(方解石やドロマイトは圧力を受けると,容易に原子の滑りが起き,(0 1 -1 2)の変形双晶が生じる)。

累帯構造:Mgの代わりに幾分Feが入ることがあるが,通常は累帯構造は認められない。

産状

苦灰岩を構成し,それはドロマイトと方解石の集合体のことが多い。なお,苦灰岩が変成作用を受け再結晶化する場合(ドロマイトスカルン),Mgは優先的に変成流体中のケイ酸分と化合し,かんらん石や金雲母などのケイ酸塩となり,炭酸塩鉱物としては,ドロマイトは少なくなり方解石が主となる。

カーボナタイトの構成鉱物としても見られるが,方解石よりも少ない。

一方,蛇紋岩地域には白い細脈をなして頻繁に産し,肉眼的には方解石よりもキラキラし,光沢が強い。そして蛇紋岩が地下深部で炭酸分に富む熱水変質を受け,ドロマイト・マグネサイト+石英の組み合わせの,肉眼的に白・翠緑色の入り混じった岩石になっていることがある。




炭酸塩化した蛇紋岩中のドロマイトとマグネサイトの集合体 
Mg:ドロマイトとマグネサイトの集合体,Qz:石英
蛇紋岩が炭酸分に富む変成流体で変質すると,Mg3Si2O5(OH)4 + 3CO2 → 3MgCO3 + 2SiO2 + 2H2Oの反応でマグネサイトと石英の集合体になる。これは肉眼的には濃淡のまだらな鮮緑色塊状(Niを含む蛇紋石・緑泥石が混ざり鮮緑色になっている)で白い細脈が多く,割れ口はきらきら光る。その際,Caを含んだ変成流体の場合はドロマイトも形成され,この画像のようにマグネサイト・ドロマイト+石英の集合体のことも多い。
マグネサイトやドロマイトは方解石より屈折率が高く,このように平行ニコルでは濁ったように見える場合が多く,クロスニコルでは一層干渉色が高く,このように虹色を通り越して濁ったような黄色の干渉色を示す。
※ドロマイトはマグネサイトと方解石との中間的な光学性で,ドロマイトとマグネサイトの区別は光学的には困難。